最近では珍しくなった? 長袖のサッカー・ユニフォーム

サッカーのユニフォームで長袖のものを見かけなくなりました。Jリーグの発足当時は一般的だった長袖ユニフォームが、なぜ少なくなったのでしょう。そして、今では少数派となった長袖ユニフォーム姿がおなじみとなっているのが、ロナウドやルーニーなどの人気選手です。長袖ユニフォームの昨今の事情について探ってみました。

長袖ユニフォームについて

近年、各国のサッカーの試合を見ていると、以前に比べて長袖のユニフォームが減っていることに気づきます。

アメリカとカナダのプロサッカーリーグMLSは、2019年シーズンの前に、すべてのチームでユニフォームの長袖バージョンを廃止しました。その理由は、長袖の需要が減少しているためと伝えられています。つまり、長袖ユニフォームを購入するファンが少なくなったということでしょう。

イタリアのセリエAでも同様に長袖のユニフォームを見なくなりました。そんな中で着こなしのトレンドになっているのは、半袖ユニフォームの下に同じ色のアンダーシャツを着る「重ね着(レイヤード)」スタイルです。

サッカーにおいて、長袖を着るメリットと、あくまでも長袖にこだわる選手について調べてみました。

長袖を身に付ける理由

サッカーは屋外で行うスポーツのため、雨や雪など、どんなに厳しい天候でも、試合で着用できるのはユニフォームだけです。ジャージやベンチコートを着たままで、試合に出ることは許されません。

人間は寒さを感じると、筋肉が緊張してこわばり、思い通りに動かせなくなります。それでは運動能力をフルに発揮することは不可能です。防寒性においては、半袖より長袖がすぐれていることは言うまでもありません。

90年代前半までは、寒い時期は長袖ユニフォームを着用するのがごく一般的でした。ところが、90年代後半以降、ハイテク繊維の開発が進み、運動機能性、耐久性、安全性、快適性などにすぐれたスポーツウエアが続々と発表され、冬場でも軽量の半袖ユニフォームを着用することが普通になっていったのです。

さらに、ユニフォームの下に着るアンダーシャツの素材の開発や研究が進んだことで、寒暖差に応じて簡単にスイッチできるようになりました。

半袖の下に長袖のアンダーシャツというスタイル

近年のトレンドは、長袖のアンダーシャツを着て、その上から半袖ユニフォームを着る、という重ね着スタイルです。

スポーツウエアの中でも特に進化が目立つのが、アンダーシャツをはじめとするインナーウエアです。近年では、「コンプレッションウエア」といって、伸縮性の高い生地でさまざまなサポート効果をもたらす機能性ウエアも開発されています。

夏場は、速乾吸収性、紫外線防止、接触冷感性、冬場は、保温性、防寒防風性、速乾性など、季節によってインナーウエアに求められる機能性は異なります。

一年を通して快適にサッカーができるように、一段と進化したインナーウエアを、実際にピッチで試してみてはいかがでしょうか。

ピステとは

サッカーの練習に欠かせないスポーツウエアのひとつがピステです。

ピステとはファスナーがついていない、頭からかぶる防寒着です。ファスナーがないため、胸でトラップをした時などに、金具にボールが当たって痛みを感じるということがありません。

ピステには春から夏の時期に向いているのも、秋から冬に向いているものがあります。暖かい季節は裏地がないもの、寒い季節には裏地がメッシュのものを使用するといいでしょう。

ピステを身に付けることで、冷たい風や雨にさらされても、体温が低下することなく練習できるので、一枚持っておくと安心ですね!

長袖ユニフォーム姿でおなじみのサッカー選手

クリスティアーノ・ロナウド

マンチェスター・ユナイテッドFC所属。ポルトガル代表フォワード。

2014年のブラジルワールドカップでは、酷暑のマナウスで、長袖のユニフォームで試合に臨んだことが話題になりました。これは、試合中に自分が出演する映画の撮影が行われていたためと伝えられています。

ロナウド自身は徹底的な体調管理を行うことで知られており、長袖を着るのは、「レアル・マドリードに在籍していた頃、長袖を着て体温を保つことにより、ケガのリスクが減るとアドバイスされたから」と答えています。

ウェイン・ルーニー

元イングランド代表で、2014年から2016年まで主将を務めていました。代表の通算出場数は歴代2位、通算得点数は歴代1位。半袖のユニフォームの下に長袖アンダーシャツというのが、ルーニーの試合での定番スタイルでした。

アントワーヌ・グリーズマン

アトレティコ・マドリード所属のフランス代表フォワードで、常に長袖のユニフォームを着用しています。元イングランド代表デビッド・ベッカムの熱烈なファンであることを公言しており、「背番号7」と「長袖」はベッカムからの影響なのだそう。背番号は、アトレティコ・マドリードへ復帰した際に「8」になりました。

Outfitterで買える長袖ユニフォーム

ゴールキーパーのユニフォームは長袖が基本となります。これは、ゴールキーパーが唯一手でボールを扱えるポジションで、ケガをしないように腕を保護する必要があるから。

そのため、ゴールキーパーのユニフォームは、シャツの肘・腕部分、パンツの横に、衝撃吸収用のパッドが入った仕様が多くなっています。

各競技会のレベルに応じたユニフォームの規制緩和

日本サッカー協会(JFA)では、2020年度から「ユニフォーム規程」を改正し、選手の着用するユニフォームやその他用具等について、規制緩和に取り組んでいます。

その中でも、サッカー競技規則で定められているアンダーウェアやソックステープの色について、大会要項に明記することで運用緩和を図っています。

2020年までのアンダーシャツ等に関するルール

サッカー競技規則では、下記のように定めています。


第4条 競技者の用具
3. 色
アンダーシャツは、次のものとする。
・シャツの各袖の主たる色と同じ色で、1色とする。
または、
・シャツの各袖とまったく同じ色の柄にする。
アンダーショーツおよびタイツは、ショーツの主たる色、またはショーツの裾の部分と同じ色でなければならない。同一チームの競技者は、同色のものを着用しなければならない。

サッカー競技規則は依然として変わらず定められていますが、グラスルーツの大会では、次のように運用が緩和されることとなりました。

2021年度以降のアンダーシャツ等に関するルール

国内のサッカー協会に向けての「選手の用具に関する運用緩和について」という通知で、日本サッカー協会では「大会要項の作成例」として、下記のように定めています。


◎選手の用具(JFA推奨)
6 アンダーシャツの色は問わない。ただし原則としてチーム内で同色のものを着用する。
7 アンダーショーツおよびタイツの色は問わない。ただし原則としてチーム内で同色のものを着用する。

この通知では、「多くのサッカーファミリーが大きな負担なくサッカーを楽しめるようにとの思いで」、今回の運用緩和に踏み切ったと記しています。大会のクラスによっては、運用を緩和する前と同じ基準の場合もありますので、あらかじめ確認しておくことが大事です。

まとめ

秋から冬にかけては、長袖ユニフォーム、長袖アンダーシャツがあれば、寒さに負けずに敏捷に動くことができます。自分のサイズにピッタリの長袖シャツを見つけて、憧れの選手のようにかっこよく着こなしてくださいね!

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